2017/08/10

絵で見る聖母マリアの生涯

Ciao!

現代社会でマドンナといえば、ポップ界の大スター、ヨガ大好きで有名なマドンナさんだけど、宗教画界のマドンナといえば、聖母マリア様のこと。


ヨガを極めると腕が伸びるってホント?

今回はマリア様の一生を、絵で追っていくよ。



  1. 誕生~婚約
  2. 受胎告知
  3. エジプトへの避難
  4. キリストの磔刑
  5. 被昇天と戴冠



1.誕生~婚約


マリア様は、現在のイスラエルに属するナザレで生まれたとされてるよ。

長いこと子供ができなかったヨアキムとアンナ夫妻の所にやっと生まれた待望の娘だったんだって。


ギルランダイオ、聖マリアの誕生、S・M・ノヴェッラ教会

さて、彼女は14才で結婚することになり、司祭の受けた神のお告げに従って、たくさんの男性の中からヨセフさんが選ばれるたんだ。そのシーンが僕の描いたこの絵だよ。

聖母の婚礼by僕、ブレラ絵画館

実は、このエピソードは聖書には無くて、黄金伝説という本のエピソードを参考にしてるんだ。


2.受胎告知

受胎告知はマリア様の生涯の中で、一番多く描かれてるシーンじゃないかな?

ヨセフさんとの結婚を控えて、まだ乙女だったマリア様のもとに現れた天使が、彼女の身に神の子が宿ったことを知らせるんだよね。

ダ・ヴィンチ、受胎告知、ウフィツィ美術館

マリア様の表情には4パターンあるんだ。ここからは四拍子で手拍子をしながら読んでね。

天使「神の子宿った!」
マリア「え?え?なんて?」←戸惑いの相。
天使「神の子や~どった。Hoo!神の子や~どった。Hoo!神の子宿った、出産してね。」
マリア「ちょと待って、ちょと待って、お兄さん!神の子宿るてなんですの?神の子宿った言われましても、意味わからんから産めませ~ん。」←思慮の相
天使「神の子や~どった。Hoo!神の子や~どった。Hoo!楽しい妊娠、マタニティライフ」
マリア「ちょと待って、ちょと待って、お兄さん!神の子宿るて妊娠なん?妊娠言うても私は処女で、男の人を知りませ~ん」←問いの相
天使「天に召します神様と~、ナザレ在住マリアさんの~、間に生まれたおまえ~の名はラッ・スン・ゴ・レ・ラ・イ・・・あ、違った。神に不可能はないので、処女でも妊娠可能です。」
マリア「あ、普通にしゃべれるんですね。わかりました。私も信者の端くれです。神様がそうおっしゃるなら従いましょう」←謙譲の相

まあ、こんな感じの心の動きを経て、神の子を産むことを受け入れたんだよ。受胎告知は本当にいろんな画家に描かれてる主題だから、次に誰かの受胎告知を見たら、そのマリア様はどの相なのか考えてみてね。

さて、受胎告知とは別にカトリックの基盤を固めようとしていた南欧でよくみられるテーマに、無原罪の御宿りっていうのがあるんだ。

ムーリョ、無現在の御宿り、プラド美術館

これはカトリック独自の考え方で、全ての人はアダムとイブの時代からの原罪を背負っている一方で、神の子の母となるマリア様は原罪無き存在だったってこと。この辺りのことは、カトリックの信者さんじゃないとぴんと来ないと思うから、「そうなんだ~」程度に胸にとどめておいて。

3.エジプトへの避難

これは、キリストの生涯でも書いたけど、ヘテロ王の幼児虐殺を避けるために聖家族がエジプトへ逃げたというお話。

ブリューゲル父、Landscape with the Flight into Egypt
Courtauld Institute of Art

聖家族をテーマにしながらも、風景画メインの作品も多いシーンだよ。

もちろん、聖母子像も人気のモチーフだよね。

小椅子の聖母by僕、パラティーナ美術館


4.キリストの磔刑

息子の磔を見に来た母マリアは、あまりの辛さに失神して周りの聖人に支えられているという形でよく描かれているよ。

グリューネヴァルト、イーゼンハイム祭壇画(部分)
ウンターリンデン美術館

ちなみに上の絵は、キリスト磔刑図の中でもとくにキリストの死を生々しく描いたもの。処刑前に受けた拷問の傷が体中に残ってるのが見えるね。


5.被昇天と戴冠

聖母マリアは、死後に肉体と魂を天にあげられたとされているよ。受け身だから聖母の昇天。


ティツィアーノ、聖母被昇天
S・M・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂

その後、天で女王として戴冠されるというシーン。タイトル(位)は「天国の女王」「使徒の女王」「殉教者の女王」とかいろいろさ。

ルーベンス、聖母の戴冠、ベルギー王立美術館

このシーンでは、キリストに戴冠される場合、天使にされる場合、三位一体総出演などいろんなバージョンがあるよ。

さて、聖母マリアの生涯、楽しんでもらえたかな?
それでは今回はここまで。Ciao!

【参考文献】



【参考動画】少し古いですが、中の人は大好きなのです。