2017/07/26

ボス・リバイバルの立役者たち


Ciao!

今回も引き続き、ボスさん特集。
前回のぶんはこちらから
ヒエロニムス・ボスってどんな人?

ボスさんの絵は彼の死後、さらに人気が高まることになるんだ。

とはいっても、ボスさんは生前から人気を確立していたから、画家一本で食べてはいけてたんだよ。

今回は、彼の死後の人気を支えたものに迫っていくよ。



ボスの思想


ボスさんの絵の人気が死後も続いたのは、絵が持つたぐいまれなる世界観だけじゃなく、その根底に流れる思想も一役買ってたと僕は思う。

前回も少し書いたけど、彼の生きた時代は、宗教改革前夜の時代。つまり、キリスト教の価値観に揺らぎが生じ始めていた時期だったんだ。

彼はそんな時代の機微を読み取って、絵を見る人たちに信仰とは何かを伝えようとしたんじゃないかな?

だから、彼の絵には当時の風刺作品「阿呆船」にヒントを得た「愚者の船」や、「愚者の治療」など風刺色の濃い物もある。


愚者の船、ルーブル美術館

ただ、彼がこういった主題を選んだのはカトリック批判や新教(プロテスタント)擁護のためでないとおもうんだ。ただただ、正しい教えをもう一度思い出してほしいという思いに突き動かされてたんだと思う。

その思いは、絵を見た人にもきちんと伝わっていて、実際、彼の遺志を継いだ画家たちの多くは、ヨーロッパの中でもカトリックの多い地域で活躍してた人たちだし、コレクターに関しても同じことがいえるよ。

ボスさんの絵はむしろカトリックの人たちから好意的に受け取られていたんだ。



ボスの影響を受けた画家


ボスさんの絵は、北方ルネサンスの初期の作品群の中で、とっても重要な存在。彼の絵に触発された画家は多いんだよ。

例えば、下の絵はボスさんと同じオランダ出身の画家マンダインさんの絵。


ヤン・マンダイン、聖アントニウスの誘惑、FransHals美術館

主題といい、ユニークな姿のモンスターたちといい、ボスさんの影響を色濃く感じさせるよね。

バベルの塔で有名なブリューゲルさんもボスさんからの影響を受けてることで有名だよね。


ブリューゲルさんは1525年ごろの生まれだから、ボスさんとは2世代くらい違うわけだけど、死後も人気の高かったボスさんの絵をまねることで「第二のボス」とも呼ばれたんだって。


ピーテル・ブリューゲル、叛逆天使の墜落、王立美術館・ブリュッセル
ピーテル・ブリューゲル、叛逆天使の墜落、王立美術館・ブリュッセル

実際に、上の絵は1898年にブリューゲルさんのサインが見つかるまではボスさんのものだと思われてたんだ。それくらいテーマも作風が似てるってことだね。


ボスファンの著名人


ボスさんのファンとして一番有名なのはスペイン王フェリペ2世。元祖「太陽の沈まない国」の王様だよ。
ティツィアーノ、フェリペ2世の肖像、プラド
ティツィアーノ、フェリペ2世の肖像、プラド美術館
受け口な人が多いハプスブルク家の出身

彼もボスさんが亡くなった後の世代の人だけど、熱狂的コレクターだったんだ。彼のおかげで、今でもマドリードのプラド美術館にはボスさんの絵がたくさん所蔵されているよ。


彼は熱烈なカトリックの支持者でもあり、その彼がボスさんの作品に価値を見出したという点も興味深いよね。

おまけ


ボスさんの生まれ故郷デンボス(ヘルトーヘンボス)には、ヒエロニムス・ボス アートセンターがあるよ。

詳細はこちら↓
オランダ デンボスのボスアートセンター

ここにある作品はすべてレプリカだけど、世界中に散らばったボスさんの作品が一堂に会してるから、ボスファンには垂涎もの!

ボスさんの絵に出てくるモンスターの巨大フィギュアも迎えてくれるよ。
聖アントニウスの誘惑 右パネルより お魚ツーリング

デンボスの街もきれいだから、ぜひ一度遊びに行ってみてね。

Jheronimus Bosch Art Center
住所:Jeroen Boschplein 2 5211 ML 's-Hertogenbosch Netherlands
営業時間:4月~10月 11:00~17:30 / 11月~3月 12:00~17:00
休館日:月曜日 祝日、年末年始
ウェブサイト: http://www.jheronimusbosch-artcenter.nl/en
【アクセス】
アムステルダム中央駅Amsterdam Centraalからデンボスs-Hertogenboschまで電車で約1時間。
乗り換え案内はこちら:9292

デンボス駅からは徒歩20分弱。


それでは、またね。Ciao!